結果に表れている。 当該項目を、区分別に比較すると、業態別、地区別には大きな特徴は認められないが、規模別、舶用比率別で眺めると、規模は大きいほど、また舶用比率は低いほど「新規事業、新規得意先開拓」の比率が高い。
●避けられない選別受注 「仕事の選別受注」をあげた企業は156社(27%)である。 従来は年間を通してトータルで採算に合えば、受注オーダー個々での採算割れにはやむをえず目をつむってきた企業も、大幅な価格ダウンと赤字受注が続く中で、企業体力が限界に近づき、泣く泣く選別受注を行わなければならなくなっていると考えられる。 ただ、選別受注をあげた企業が、業態別にみると、構外・兼業企業で35%程度あるのに対し、構内企業では21%と低くなるのは、元請への依存度が他業態より高いことと同時に技能労務提供型の企業であり受注オーダーごとの価格変動余地が極めて少ないことが理由としてあげられる。
●3割弱が役員給の減額・カット 「役員報酬の減額・カット」をあげた企業は139社(26%)である。 造船協力企業は昭和50年代以後の造船不況をくぐり抜けてきた過程で相当程度管理部門のスリム化を成し遂げていると思われるし、また、役員であっても生産現場との兼務役員比率が高く役員報酬としてよりも現業部門の経費(賃金)として会計処理されるケースが多いと推定されるので、販管費そのものの合理化余地は極めて微々たるものといえるが、賃金や下請・外注費等の大幅な見直しが難しい中で比較的手のつけやすい役員給与は窮余の策として採用されており、構内企業にその傾向が強い。 ただ、役員といえども報酬・給与は生活給であることに変わりはないので、一時のしのぎの対策にすぎないといえる。
●難しい下請への転嫁 資材調達価格の見直しと並んでコスト圧縮に避けて通れないのが「下請への発注価格の見直し」(全体で27%)である。調査回答企業534社のうち常時下請企業(外注を含む)を抱えている企業は規模の比較的大きい階層に限られている(大雑把に全企業の2/3程度か)ことを考慮すると、この比率は実質40%程度に相当するとみてよい。 当業界企業の場合、コストに占める材料比率は小さく(構内はゼロ)、外注費や賃金をどう抑制し効率化するかが採算維持のポイントであるが、従業員の賃金は生活給であり大幅な引下げは不可能である。逆にここ数年賃金の据置をしてきた企業も多いことを考えると何がしかの昇給をも考慮しなければならない可能性さえある。 「下請発注価格の見直し」が比較的高率なのはこうした背景もあってのことと思われるが、下請費も常用工についてみれば従業員賃金と同種の性格といってもよいものである。労働力の調達が思うに任せない企業が多いことや先々まで下請企業との良好な取引関係を維持する必要も考慮しなければならないので受注の価格ダウンの下請への転嫁には限界がある。
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